カンボジア:虐殺犯罪博物館と宿でダブルの衝撃

トゥールスレン虐殺博物館の入り口
トゥールスレン虐殺犯罪博物館の入り口
どーも、なつみです!

リアルタイムはアメリカのマイアミ。
生活空間が一足飛びに快適になって、日本を近く感じます。
主に、トイレットペーパーをトイレに流せるところ。

【カンボジア】トゥール・スレン虐殺犯罪博物館へ

2017/01/22当時:1USD(アメリカドル)=約115円=4000リエル

世界一周前、私がカンボジアと聞いてイメージするのは、「アンコールワット」と「虐殺」の2つでした。
アンコールワットは言わずもがなですが、虐殺とは。

カンボジアにはかつてポル・ポトという首相がいて、彼の政権下にあった1975〜78年の間に、100万人の国民が虐殺されたのです。

被害者は200万人とも300万人とも、いろんな記事がありますが、ポル・ポトが政権をとるまでの内戦で亡くなった人も相当数いたとのことで、純粋な虐殺による死者は100万人くらいではと言われているそうです。

共産主義者だったポル・ポトは、特に極端とされる原始共産主義社会というのをカンボジアで実現しようとしました。
その内容は、まさに原始時代の狩猟採集生活のようなイメージで、文明の利器をなくし、貨幣をなくし、ほぼ全国民を食料生産に従事させるという過激なものだったそうです。

そして計画の邪魔になりそうな人をとにかく殺していったのだとか。それも政敵なんていうレベルじゃなく、ある程度の知識がある一般人も対象です。
もう1970年代なので、そんな人はたくさんいます。医者や教師、技術者、僧侶などなど。海外に留学していた人も、嘘で呼び戻して殺したそうです。
果ては外見が美しい人も平等を崩すからと殺されてしまったとか。

ポル・ポトは何の思想にも染まっていない子どもを重用し、子どもの兵士や料理人、子どもの医者まで登場したのだそう。
そんな、作り話ではと思うほど無理のある状況が、近代のカンボジアで実際に起こっていたということに興味がわきました。

そして、プノンペンに到着した次の日、さっそくトゥール・スレン虐殺犯罪博物館へ。
この建物は、かつては学校、次に強制収容所、今は博物館として使われています。

入場料は3ドル。音声ガイド付きは6ドル。
展示は完全に音声ガイドを前提にしたものなので、ふつうに見るならガイド必須です。

虐殺博物館の中
虐殺博物館の中庭
整備された中庭を囲むように、ぐるりと建物が並んでいます。
それではと一番近い部屋に入った瞬間、足が止まりました。

コンクリートの部屋に錆びたベッドが1台、壁には写真が1枚。写真には、この部屋で発見された遺体が写っています。
発見時の生々しい写真です。文字の説明はろくにないのですが、写真がすべてを物語っていました。

建物には元学校だけあって同じような部屋が並び、そのどれもに同じような拷問のあとと、写真がついています。
最初の建物の、1階はすべてそうでした。2階は…と思ったけど、次の建物の1階も見てみることに。

そして次の建物に入った瞬間、やっぱり足が止まりました。
壁中に顔写真が並んでいたのです。収容者の、発見された時の死に顔の写真。
20000人近くが収容されて、生還したのはたったの7人だったそうです。その殺されたほうの人の写真がとにかくびっしり並んでいます。

他の部屋には、当時の絵描きが描いたという拷問の様子や、拷問器具、人々が実際に拘束されていた場所…と、息苦しいほど凄惨さを前面に押し出した展示です。

周りに観光客はたくさんいるのですが、とても静かです。すれ違う人はみんな無言で苦悶の表情を浮かべています。

1時間ほど見て回ると、私も貧血になりそうなほど鬱々とした気持ちになってきました。だんだん気分が悪く、頭が痛くなってきて、中庭で休憩することに…。
そして、もう建物の中へ戻ることはありませんでした。

もし音声ガイドで詳細を聞いていたら、この半分の時間ももたなかったかもしれません。私たちはガイドなしで十分でした。
高尚な感想は出ませんが、これからのカンボジアは平和に豊かに成長して欲しいと心から思います。

そして、”近代の独裁者による大量虐殺”と、”古代の王様による虐殺ショー(死闘とか猛獣とか)”では、似たような出来事なのになぜ心に受ける痛ましさが違うんだろうと考えていました。
その違いはたぶん、生々しい資料を見ることができるか否かだと思います。

トゥール・スレン虐殺犯罪博物館はいやな気分になる場所だけど、何が”いや”なのかを人々が覚えておくために、こういった資料を残したり、見たりすることは意味があるんだろうなと思わせる博物館でした。

博物館で滅入った気持ちをフルーツで回復
博物館で滅入った気持ちをフルーツで回復

ワット・プノンを散策

時間はまだお昼。もうひと観光できそうだということで、プノンペンの大きなお寺に行くことにしました。

路線バスで一気に市内を北上です。
トゥクトゥクだと言い値6ドル、相場2ドルの距離を、バスなら3000リエル。公共交通機関すばらしい。

バスはきちんと整備されている
バスはきちんと整備されている
わりときれいだし利用しやすい
わりときれいだし利用しやすい
ワット・プノンは、プノンペンという名前の由来となったお寺です。昔プノンというおばあさんが住んでいたところなんだそうな。

アジアで特に多い外国人だけ有料
アジアで特に多い外国人だけ有料
バッチリ払って入場
バッチリ払って入場
外国人は入場料1ドルです。
なんだか不公平な感じだけど…外国人は入場料を払う、現地人はお供え物を買う。そんな感じで釣り合いが取れているのかなとも思います。

参拝グッズの札束が売られている
参拝グッズの札束が売られている
地元の人は自発的に参拝にお金を払うのである
地元の人は自発的に参拝にお金を払うのである
お堂の中はタイより渋い配色
お堂の中はタイより渋い配色
遺跡以外の生きたお寺は、カンボジアでは実は初めて。
多くの人が熱心に参拝しに来ていました。お供え物もガンガン売れていて、お堂はお供えまみれになっていました。

ワット・プノンの外に出ると、ずっと気になっていた”何かの輪切り”屋さんが!

何かの輪切り屋さん
何かの輪切り屋さん
興味津々で近づくと、1つ試食させてもらえました。これは…サトウキビ!
シロップ漬けか何かの冷え冷えサトウキビの輪切りでした。
噛んで甘いシロップを吸ったら、ペッとそのへんに捨てる。甘さとジューシーさと冷たさが、暑い日にちょうどよくて2人とも一気に気に入ってしまいました。

冷え冷えのサトウキビを噛み噛みして捨てる
冷え冷えのサトウキビを噛み噛みして捨てる

これがプノンペンの本気

サトウキビを噛み噛みしながら歩いていると、セントラルマーケットという看板が。
「実は、カンボジアのマーケットってあんまり好きになれないんだよねぇ。狭くて圧迫感があって、床が濡れてて、においがきつくて…」
と、とおるさんに打ち明けると、「実はぼくも…」とホッとする返事が返ってきました。

よし、気持ちは同じだ。外からちょっと見てヤバそうだったら入らず帰ろう!
と決めて行ってみたら、意外や意外…

中央市場の中央は美しいドームと輝く貴金属売り場
美しいドームと輝く貴金属売り場
思ってたのと違う!
通路広い! くさくない!
天井も床もきれい! 乾いてる!
想像していなかった美しいビジュアルの市場にニヤリ
想像していなかった美しいビジュアルの市場にニヤリ
笑顔でたのしく散策しました。

このあともおしゃれカフェに入ったり、ちょっといい店で晩ごはんを食べたりと2人ともニコニコ。
午前中に博物館で下がりきったテンションはどんどん上がり、夜は最高潮!

そのままウキウキで宿に帰宅した2人を、どん底に突き落とす事件が待っていたのでした…。

宿でやられた…

「Macがない…。同じところに入れてたiPhone5sもない」

ゲストハウス内での盗難です。

朝はカギをかけたことをチェックしてから外に出て、夜もカギを開けて入りました。
でも部屋の中の、リュックの中に入れていたとおるさんのMac Book Airと、予備として持ってきていたiPhone5sがなくなっていました。荷物をひっくり返しても、もちろん出てきません。

宿のスタッフさんに伝えたところ、盗難なんて初めてだと言いつつ、「オーナーが助けになってくれる」とのことで、明日来てくれる宿のオーナーと話すことになりました。

海外旅行経験の少ない私たちでも、盗まれたものが戻ってくる見込みはないだろうということは分かります。
放心状態になりつつ保険会社に連絡して、明日警察に行くことだけ決めて、なぜかドアの内側にバリケードを作って寝ました。

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